重い母

 子どもができて、絵本を借りるついでに自分の本を図書館で借りることが多くなりました。というか、ほとんど図書館。
 『文学界』に4月から上野千鶴子さんが「女たちのサバイバル作戦−ネオリベ時代を生き抜くために−」という連載を始めたので、それを読んでいます。その流れから、最近、母娘シリーズを読み始めました。

 

母が重くてたまらない―墓守娘の嘆き

母が重くてたまらない―墓守娘の嘆き

 私も重い母にならないために。

 信田さよ子さんといえばDVと思っていたけど、母も滅多切りしちゃうの?と思ったら、最後は夫のことも出てきて、うんうん。
 さて、この本の中に、ある同人誌に掲載された「いま望むこと」という文章が載っていた。孫引きしたいけど長すぎるのでところどころかいつまんで説明。

 59歳のこの女性には、時代的にも専業主婦になって子どもを生むという選択肢しかなかった。「結婚生活の幻想も早期に崩れ」、出産で自由を失い、子育てには「協力者であるはずの夫」はおらず、二人の「娘たちの最大の理解者になり」、自分が就職や結婚で味わった挫折感や不全感を感じない生き方ができるよう育てた。そして、娘たちが立派に育った今、「能力と感性に溢れた美しい二人の娘たち」が自分と「軽やかに暮らしていってくれる」ことを望んでいる。
 結婚はしてもしなくてもよく、週末には娘らと音楽会や演劇を楽しみ、いつものイタリアンレストランで感想を語りながらおいしいディナーを味わう。そして、時には一緒に旅行にいったりもする。娘たちの「重荷にならないように、細心の注意」を払いつつ。
 
 どうだろう。とっても寂しい。でも、自分も近いことを考えていたりもして人事でないくらい虚しい。女性も仕事する時代になったし、離婚もタブーなんかじゃなくなったのが救い。